「なんか最近、ずっと不安な気がする」
理由がはっきりしないのに、なんとなく胸がざわざわする。そんな経験、ないですか?
わたしにはあります。というか、今もあります。昨日もありました。明日もたぶん、あると思います(笑)
不安って、本当にやっかいな感情です。消そうとしても消えないし、「大丈夫だよ」と言われてもすぐには収まらない。何かを調べると余計に不安になる、でも調べないでいられないし……という、あのループ。
今日は「不安を解消する方法」をお伝えする記事ではありません。それよりもっと手前の話——そもそも人は、なぜ不安になるのか。そこをゆっくり考えてみたいと思います。
不安ってそもそも何なのか、ちゃんと考えたことあるか
感情というより、体の「警報装置」に近い
「感情」と聞くと、なんとなく心の問題という気がします。でも不安って、実は体の反応でもあるんですよね。
心臓がドキドキする。手に汗をかく。胃がキュッとなる。息が浅くなる。
これ全部、不安のときに起きることです。気持ちの問題というより、体が勝手に動いている感じ。
脳の中には「扁桃体」という部分があって、外から入ってくる情報を見て「これは危険か、安全か」を瞬時に判断しています。で、「ちょっとヤバいかも」と判断したときに、ノルアドレナリンという物質が出て、体を戦闘モードに切り替えます。心拍数が上がって、筋肉に血液が集まって、判断が素早くなる。
いわゆる「闘争か逃走か(Fight or Flight)」の反応です。
つまり不安というのは、感情である前に、体の警報装置なんです。「何かある、注意せよ」というアラートが、心臓やお腹や手のひらにまで伝わってくる感じ。
怖い・心配・不安——微妙に違う、この3つの話
余談ですが、「怖い」と「心配」と「不安」って、似てるようで少し違うと思うんです。
「怖い」は、今ここにある脅威に反応する感覚。目の前に大きな犬がいたら「怖い」。
「心配」は、特定の誰かや何かに向いている感覚。「あの人、ちゃんと帰れたかな」という、対象がはっきりしている不安。
「不安」は……もっとぼんやりしてる。何に対してとは言えないけど、なんかやだ、という感じ。この3つの中で一番やっかいなのが、漠然とした不安かもしれません。輪郭がないから、どこをつかめばいいかわからない。
人間はなぜ、こんなに不安になるようにできているのか
進化の名残——安全な時代に生きる、危険を察知する脳
人間の脳って、今の時代にはちょっとオーバースペックな部分があります。
何万年も前、人類がまだ狩猟採集で生きていた頃、世界は本当に危険でした。食料がなくなる、猛獣に襲われる、仲間とはぐれる。不安を感じない人間は、危険を察知できずに死んでいった。不安を感じやすい人間が、生き延びて子孫を残した。
つまり、不安になりやすい脳を持った人類が、今のわたしたちの祖先なんです。
時代は変わって、現代日本ではサーベルタイガーに追いかけられることはほぼありません。でも脳の構造はそんなにすぐには変わらない。会議でミスをしても、SNSで誰かに批判されても、「死にそうなほどやばい」と脳が反応してしまう。
これを「ネガティブバイアス」とも呼びます。危険に敏感すぎる脳は、安全な現代では少しだけ空回りしがちです。
脳は「未来」と「現実」を区別しない
もうひとつ、厄介な脳の特性があります。
人間の脳は、想像したことと実際に起きていることを、区別するのが苦手なんです。
「もし失敗したら」「もし嫌われたら」「もし病気になったら」——まだ起きていないことを想像するだけで、体がリアルに反応してしまう。胃が痛くなる、眠れなくなる、心拍数が上がる。
実際にはまだ何も起きていないのに。
ある研究では、人が心配していることの約87%は、実際には起きないといわれています。しかも起きたとしても、その大半は自分で対処できる範囲のことだと。
でも「だから心配するな」と言われても、無理ですよね。だって脳が「これは本物の危機だ」と処理しているんだから。
現代は、不安が増幅しやすい時代になった 😔
情報が多すぎると、比べる対象も増える
昔の人の悩みがどんなものだったか、正確にはわかりません。でも少なくとも、SNSで他人の「充実した生活」を毎日何十枚も見ることはなかったはずです。
自分の生活と誰かの生活を比べるのは、人間の本能みたいなもの。でも比べる対象が100倍になれば、「自分だけなんかうまくいってない」という感覚も100倍になりやすい。
しかも、SNSには「うまくいっていない部分」はあまり流れてきません。キラキラした部分だけが流れてくる。比べ続けると、自分の普通の日常が、なんだかすごく貧しく見えてくる。
選択肢が増えるほど、後悔も増える
心理学に「選択のパラドックス」という考え方があります。
選択肢が少ないときは、選んだものに満足しやすい。でも選択肢が多すぎると、「あっちを選べばよかったのかな」という後悔が生まれやすい、という話です。
仕事、住む場所、パートナー、ライフスタイル。今の時代、選べることが多すぎて、かえって「これでよかったのか」が増えた気がします。正解がたくさんあるということは、間違いもたくさんある、ということでもあるから。
不安を「消そう」とすると、なぜうまくいかないのか
感情は押さえようとするほど大きくなる
「不安になってはいけない」「弱気になるな」「もっとポジティブに考えよう」——
そう自分に言い聞かせた経験、ありませんか?わたしはあります。でも正直、あんまりうまくいった記憶がない(笑)。
これには理由があって、感情というのは、抑えようとするほど意識がそこに向かうという性質があります。「ピンクの象を想像しないでください」と言われると、どうしてもピンクの象を想像してしまう、あの感じです。
不安を「消そう」とするのではなく、ただ「あるな」と眺める、というアプローチが、最近注目されているのはそのためです。感情に乗っ取られるのではなく、少し距離を置いて「あ、また不安ちゃんが来た」と観察する感じ。
不安を感じる自分を責めると、二重に苦しくなる
不安の次にやってくる感情があります。
「こんなことで不安になる自分はダメだ」という、不安への罪悪感です。
不安(一次感情)→ 不安を感じる自分への批判(二次感情)——この二段構えが、本当につらい。
でも、不安を感じること自体は、悪いことじゃない。さっき話したように、それは脳が正直に「ヤバいかも」と言っている状態です。警報が鳴っているからといって、警報機を責めてもしょうがない。まず、そこだけ切り離して考えてみると、少し楽になることもあります。
不安と「うまく付き合う」ってどういうことだろう 🌿
全部解決しなくていい、という考え方
「不安を解消する」「不安をなくす」——こういう言葉をよく見ます。でもわたし、これって少し違う気がしていて。
不安って、完全になくなるものじゃないと思うんです。むしろ、何かを大切にしていれば、不安はついてくる。
仕事が大事だから、失敗を怖れる。家族が大切だから、何かあったらと心配になる。将来の自分を想うから、今の生活を変えたくなる。
「不安ゼロ」を目指すより、不安と一緒に生きる、というほうが現実的かもしれない、とわたしは最近思っています。
今思うと、若い頃の自分は「不安を感じない強い自分」みたいなものを目指していた気がします。でもそれって、ちょっと違ったんじゃないか。強いんじゃなくて、ただ感度が低かっただけかもしれない(笑)。
不安を「情報」として読む、という視点
不安を感じたとき、「やばい、消さなきゃ」と思う前に、ちょっとだけ立ち止まって聞いてみることがあります。
「この不安、何を伝えようとしてるんだろう」と。
「会議が不安」——本当に準備が足りてないのか、それとも怒られるのが怖いのか、それとも自分の意見を否定されるのが怖いのか。
不安の「表面」ではなく、その奥にあるものを少し見てみると、何か見えてくることがあります。不安は、自分が何を大切にしているか、何を恐れているかを教えてくれる信号でもあるから。
不安は、何かを大切にしている証拠かもしれない
不安のない人生は、本当に豊かか
「もし不安を一切感じない人間になれたとしたら」と考えてみると、なんか怖いんですよね。
何に対しても「まあいっか」で流せる人って、裏返すと、何も大切にしていないか、感覚が鈍くなっているか、どちらかじゃないかと思う。
親が病気になって不安を感じるのは、親が大切だから。就職や転職に悩むのは、自分の人生を真剣に考えているから。将来のお金が心配なのは、豊かに生きたいという気持ちがあるから。
不安って、愛着の裏側にあるものかもしれない。大切なものが多い人ほど、失う怖さも大きい。 😊
あなたは今、何に不安を感じているか
ここまで読んでくれたあなたに、一つだけ聞いてみてもいいですか。
今あなたが感じている不安は、何についての不安ですか?
そしてその不安の奥には、何がありますか?
正解はありません。「こういうことが怖いんだなあ」と気づくだけでも、ちょっとだけ違って見えるかもしれない。
不安は答えを出すためにあるんじゃなくて、自分の内側を知るためにある、かもしれない。そんなふうにわたしは考えています。たぶん、ですけど。
まとめ——不安は「消すもの」じゃなく、「聞くもの」かもしれない
- 不安は、脳が「危険かも」と察知したときに起きる体の反応
- 人間は進化の過程で「不安になりやすい脳」を持つようになった
- 現代は情報・比較・選択肢の多さで、不安が増幅しやすい環境になっている
- 不安を消そうとすると、かえって意識がそこに向かう
- 不安は「何かを大切にしている」というサインでもある
不安を完全にゼロにしようとしなくていい。それよりも、「この不安、何を教えてくれてるんだろう」と、少しだけ聞いてみる。
あなたはどんなことに不安を感じますか?その不安の向こうには、何がありそうですか?


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