人はなぜ変わりたいのに変われないのか——「また変われなかった」の正体を、一緒に考えてみる

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人生のぎもん

毎年、年が明けるたびに思う。「今年こそ変わろう」と。

早起きするとか、運動を続けるとか、もっと人前で自分を出せるようにするとか。内容は毎回少しずつ違うけれど、根っこにある感覚はいつも同じ。「今の自分じゃダメだ」「もっとちゃんとした自分になりたい」という、あの焦るような気持ち。

でも気づくと、3月には元の生活に戻っている。そして年末に「ああ、今年も変われなかったな」と思う。来年こそは、と思いながら眠る。

正直に言うと、私もこれをずっとやってきました。何年も何年も。「変われない自分」に嫌気がさして、「自分は意志が弱い人間なんだ」とどこかで結論づけてしまったこともある。

でも、本当に意志の問題なんでしょうか。今回は、そこをゆっくり考えてみたいと思います。🌱


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人はなぜ、毎年同じ誓いを立ててしまうのか

「今年こそ変わる」の繰り返しに気づいたとき

あるとき、スマホのメモアプリを整理していたら、3年前に書いた「今年の目標」が出てきました。

「朝5時に起きる」「週3回ジムに行く」「人に頼れるようになる」——今年書いたものとほぼ同じでした(笑、さすがに笑えなかったけど、笑うしかなかった。

「変わりたい」という気持ちは、たぶん本物なんです。嘘じゃない。でも、なぜかそれが行動に変わらない。続かない。元に戻る。そしてまた「変わりたい」と思う……この繰り返し。

こんな経験、あなたにもないでしょうか。

変わりたいという気持ちは本物なのか

「変わりたいと言いながら、実は変わりたくないんじゃないか」——そう言われたら、どう感じますか?

最初は「そんなわけない!」と思うかもしれない。でも心理学の世界では、これはかなり真剣に議論されていることなんですよね。

哲学者の岸見一郎さんは、アドラー心理学に基づいて「変われないでいる人は、無意識に『変わらない』という決心をしている」と述べています。表向きには変わりたいと思っている。でも、もっと深いところで「変わらないでおこう」と決めている——というのです。

これ、最初に読んだとき少しムッとしたんですけど、よく考えると確かに心当たりがあって。


変われないのは、意志が弱いせいじゃないのかもしれない

脳と体には「変わりたくない」仕組みがある

実は、人間の体には「現状を維持しようとする」仕組みが備わっています。「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」と呼ばれるもので、体温や血糖値を一定に保つ、あの仕組みと同じ原理です。

面白いのは、これが行動や思考のパターンにも働くとされていること。つまり脳は、「今の自分」を正常な状態として認識していて、そこから大きく外れようとすると「戻れ」というサインを出すわけです。

新しいことを始めたとき、妙な焦りや不安を感じたことはありませんか?「こんなことを続けていいんだろうか」「なんか違う気がする」という感覚。あれは、脳が「おい、元に戻れ」と言っているサインかもしれないんです。

意志が弱いんじゃなくて、脳が優秀なんですよね……ある意味で。

習慣という名の「見えない壁」

行動科学の研究によれば、人間の日常行動の約40%は習慣によるものと言われています。つまり、「自分で考えて決めている」と思っている行動の、実はかなりの部分が自動的に動いている。

習慣って便利なんです。いちいち考えなくていいから。歯磨きするたびに「どうやって磨くんだっけ」と悩む人はいない。

でも、これが「変わること」の妨げになる。新しい行動をしようとすると、古い習慣が「そっちじゃなくてこっちだよ」と引っ張るんです。このとき必要なのは意志の強さというより、習慣の回路そのものを少しずつ書き換えていく根気なのかもしれません。😌


「変わりたくない」という本音が、どこかに潜んでいる

変わることへの恐怖——未知への不安

「変わりたい」の裏側に、「変わることが怖い」という気持ちが隠れていることがあります。

今の自分は、不満はあるけど「わかっている」。毎日同じような失敗をするかもしれないけど、それがどんな失敗かは知っている。でも「変わった自分」がどんなふうに生きるのか、何が待っているのか、まったく見えない。

未知の自分に向かっていくより、不満でも「知っている今の自分」にいた方が安心——そういう気持ち、正直ありませんか?

これは「現状維持バイアス」と呼ばれる心理傾向で、人間はリスクや変化を避け、現状を選びやすいことが知られています。投資でも、恋愛でも、仕事でも。たぶん人生全般で。

アドラーが言った「変わらない決意」とは何か

先ほど触れたアドラー心理学の話をもう少し。

アドラーの考え方では、人の「ライフスタイル(性格のようなもの)」は、生まれつきではなく自分で選んでいるとされています。そしてそれは、無意識のうちに「自分を守るため」に選んでいることが多い。

たとえば、「私は内気な性格だから人と話せない」と思っている人がいるとします。でもアドラーはこう問うかもしれない——「あなたは、内気という性格を使って、人と深く関わることを避けているんじゃないですか?」と。

つまり、変われないのは、「変わってしまったら今まで使っていた言い訳が使えなくなる」からでもある、というわけです。これ、きつい問いかけなんですが……自分を振り返ってみると、「ああ、そういう部分あるかも」と思う瞬間があったりします。


変化には、必ず何かを「手放す」痛みがある

今の自分を守るために作ってきたもの

変わろうとするとき、人は何かを手放さなければならない。

「早起きしない自由」を手放す。「人に頼らなくていい自立感」を手放す。「完璧じゃない自分を許してきた言い訳」を手放す。

それって、地味に痛いことなんですよね。今まで自分を支えてきたものが崩れていくような感覚。「そんなこと大げさな」と思うかもしれないけど、変わるというのは、ある意味で「今の自分の死」に近い体験かもしれないと、哲学者は言ったりします。🌿

「今の自分を捨てて新しい自分になる」ということの、実際のしんどさを、ハウツー本はあんまり教えてくれない。「こうすれば変われる!」という話は多いけど、「変わることの怖さと痛み」についての話は、どこか後回しにされがちです。

「今の私」が消えるような感覚

少し抽象的な話になるんですが。

「変わる」ということは、「今ここにいる自分」が続かなくなることでもあります。今まで「内気な自分」で生きてきた人が、急に「社交的な自分」になったとして、それはまだ「自分」なんでしょうか?

アイデンティティの揺らぎ——みたいな話になってしまうんですが、変わることへの抵抗の一部には、この「自分が自分でなくなるような不安」も含まれているのかもしれないなと、最近ぼんやり思っています。

完全な答えは出ていないんですが。


それでも、人は変われるのか

大きく変わろうとしなくていい、という考え方

「変わりたいのに変われない」と悩んでいる人の多くは、たぶん「大きく、劇的に変わろうとしている」んじゃないかと思うんです。

「ダメな自分を全部変える」「根本から生まれ変わる」——その目標の大きさが、逆に変化を妨げているケースは多い。脳にとっては、変化が大きければ大きいほど「元に戻れ」というサインも強くなるから。

小さく始める。ほとんど変わらないくらい小さく。「毎朝5時起き」より「いつもより15分早く起きる」。「週3回ジム」より「週1回、歩いて帰る」。そういう小さな変化を積み重ねていく方が、脳の抵抗が少ない——という考え方があります。

地味だし、劇的な感じはしない。でも、それがたぶんリアルな「変わり方」なのかもしれません。

「変わった」と気づくのは、いつもあとから

面白いことに、変わった瞬間というのは、あまりリアルタイムでは気づかないものです。

去年の自分と今の自分を比べたとき、あるいは昔の友人に久しぶりに会ったとき——「あ、自分って変わったんだな」と気づく。変化は少しずつ、気づかないうちに起きているんですよね。

「変われていない」と思っているとき、実はもうすでに少し変わっているのかもしれない。そういう可能性も、頭の隅に置いておいていいと思うんです。😊


変わることと、変わらないことの間で

変わらなくてもいい自分、というのもある

最後に、少し逆の視点も。

変わりたいという気持ちは本物だと思う。でも同時に、「変わらなくていいものもある」と、最近は思うようになりました。

自分のペース、大事にしてきた価値観、不器用だけど正直な自分の性格。それを全部「変えなきゃいけないもの」として捉えるのは、少し違う気がして。

変わることと変わらないことを選んでいく——それ自体が、人生を生きるということの一つの形なのかもしれないな、と。完全に整理はできてないんですが。

あなたにとって「変わる」とはどういうことか

「変わりたいのに変われない」——この言葉の中の「変わりたい」は、本当は何を求めているんでしょう。

もっと自分を好きになりたい?人に認められたい?楽になりたい?何かから逃げたい?それとも、前に進みたい?

「変わること」が目的なんじゃなくて、変わった先に何かを求めているはず。その「何か」を見つけることが、変わるための本当の出発点になるのかもしれません。

あなたが「変わりたい」と思うとき、その奥にあるのは、何でしょうか。


まとめ

変われないのは、意志が弱いせいじゃないかもしれない。脳と体には現状を維持しようとする仕組みがあって、変わることへの恐怖が、変わりたいという気持ちと静かに戦っている。

「変わらない決意」は、無意識の中に潜んでいる。今の自分を守るために、ずっと使い続けてきた何かを手放すことへの怖さ——それも、変われない理由の一つかもしれない。

大きく変わろうとするより、小さく変わり続けること。「変わった」と気づくのは、いつもあとから。

そして時には、変わらないことを選ぶ自分を許してあげることも、悪くないのかもしれません。

あなたは今、どんな自分に「変わりたい」と思っていますか?そしてその奥には、どんな気持ちが隠れているでしょうか。🌱


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次回予告

次回は「人はなぜ過去の自分にこだわってしまうのか」について書こうと思います。変わることと過去の自分のつながりって、案外深くて。

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